2016年09月30日 (金) | Edit |
赤木・天・ひろについて

赤木しげると言う人物について思うことは、
無邪気で飄々とした態度が印象的だったということでしょうか。
その背景には死と紙一重の人生観がありました。
飄々とした態度の裏に過酷な人生訓を携えた水木しげるさんにも重なり、
鬼太郎(赤木)のやる気のない態度は怠けてるだけではなく、
水木さんの「怠け者になりなさい」という言葉の真意、
怠けて暮らせるまでは必死に生きなさいという生き方の先に現れる態度を表したんですね。
隻腕で戦後を生き抜くために漫画家を目指され、
真剣に人生と向き合い続けた御大だからこそ、
晩年に代表されるあの態度が眩しかったんだと思います。
 
死に方まで選べた赤木は可能な限り人生を全うしたわけですが、
希望を信条とする天さんとは対極の思想家でした。
かつて「赤木に憧れている。自分は赤木にはなれない」と言われた福本さんは、天さんと同じ決断を下す側なのでしょう。
仮に安楽死を希望したとしても肝心の生死の境目(自分が自分でなくなる)、
その線引きがとても難しいからです。

葬儀編の天と赤木は作者の中の理想と信念の対立になります。
黒沢さんがもう一つの作者の人生なら、
天さんを作者と同い年に設定したことにも意味があったのでしょう。
福本さんは信念をもって生き抜き、赤木の生きざまに夢を預けて看取る側です。
決して選択することのない赤木の死に様に理想を重ねていたのは、
裏返せば天と同じ決意を抱えた作者を垣間見せたということです。
それゆえに葬儀編の二人のやり取りは堪えました。
  
最終話でも涙を浮かべた天さんは、
赤木の信条をくみ取りながらも収めきれない思いがあるのでしょう。
同時に赤木が遺したその影響に感銘を受けていましたね。
天さんは赤木と同じ病を患っても治療をあきらめないでしょう。
それは強い意志に裏付けられた信念のなせる業で、
最も現実的な決断と言えます。
葬儀編において作者の意思を反映させた存在でした。
無念の向こう側で赤木の死を受け止め、
最後に笑顔を見せてくれた天さんだから支持したんです。
  
一方でひろには強烈なシンパシーを感じてその痛みを分かち合いました。
「天」という作品の中でひろと赤木の対話が一番堪えました。
HEROで立ち上がったひろと見送る天さんの二人に会えたのは、
決して開くことのない扉が開いた瞬間だったのです🙌 
それがナグモの作者さんだったこと。
あの感動は今でも忘れていません。

天
天 新装版13巻(完)



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